2010年4月21日(水)、北央医療生協が主催する「健康づくり講座」へ小笠原相談役が講師として出席。「口と健康」をテーマに公開講座として開催された。参加者は39名。歯科を取り巻く環境や海外技工問題に触れるほか、フロアディスカッションでは「カルシウムを摂れば歯は強くなるのか」など、参加者から多くの質問が挙がった。講習会終了後には、「今まで知らなかった歯科医療のことを知ることができた」などの感想が寄せられた。
冒頭主催者は、 今まで“歯”をテーマとした講座を開催することができなかった為、本日は有意義な講義にしたい―と挨拶。今講座は昨年10月に「医療費窓口負担の解消」「地域医療の充実」を求め、保険医協会歯科部会と北央医療生協とが懇談を行ったことを契機に実現したもので、北央医療生協が主催する健康づくり講座としては初の開催となる。
始めに、TBS系「報道特集NEXT」が2週にわたり「海外技工問題」を特集した番組を放映し、参加者へ海外で製作された歯科技工物に、日本では使用禁止となっている“ベリリウム”が検出された問題の真相と、誰しもが口にする危険性があることの認識を促した。
講師の小笠原氏はこれを受け、海外技工物の取り扱いについては、国がそれを歯科医師の責任として位置づけ、その輸入に一切の規制を設けていない現状、日本の歯科医師・技工士が、技工物を海外へ委託してしまう背景について、歯科診療報酬が引き上げられない点や、歯科の技術料が物価の上昇に伴わず、中には十数年も据え置かれている技術料がいくつも存在していること、そのため単価の安い海外に技工物の製作が委託されてしまうことなどを詳述した。さらに、これら診療報酬の低点数化により、歯科医師の4人に1人がワーキングプアと呼ばれるほどに厳しい経済状況に追い込まれていることに言及。それらのいくつかの要因も重なって、患者へ十分な歯科医療が提供しづらくなっている事態に警鐘を鳴らした。会場からは、「海外で作られた安い技工物の恐ろしさを知りショックを受けた」「歯科医師の置かれている現状に驚かされた」などの声が挙がった。
その後のフロアディスカッションでは、「カルシウムを摂れば歯は強くなるのか」など、多くの質問が寄せられ、小笠原氏は「胎児の時に歯は形成され始めている。妊婦の栄養摂取状況が大きく影響する」と回答。「今まで知らなかった歯科医療のことを知ることができた」など、多くの感想が届いた。