神奈川県保険医協会は2009年5月28日、新型インフルエンザの感染拡大の予防のため、国保資格証明書世帯の受診時負担をゼロ円とする特例措置を求め、県内全ての市町村長に要望書を提出した。資格証明書世帯は受診時に10割負担となるため、受診率は一般の51分の1で、事実上、受診ができない状況にある。
県内では新型インフルエンザが社会問題化する中、全国に先駆け大和市が国保の資格証明書の発行世帯に対し、希望者へ被保険者証明書の発行を5月8日に決めている。これに次いで政府も5月18日、「発熱外来」を受診する資格証明書世帯に関し、10割負担とはせずに、正規の保険証と同様の3割負担とする特例措置を全国に通知。更には、大阪府堺市が資格証明書発行の全世帯に短期保険証を発行することを決め、「簡易書留」で5月19日から発送を始めている。
これらの特例措置は、資格証明書世帯が新型インフルエンザに感染した恐れがある場合に、費用負担から同世帯が受診をためらい感染拡大につながることを防ぐ目的で講じられたもの。
しかし、現実的にはこの措置では画餅である。「要望書」では、この点を指摘。国保の年額保険料が15万円程度で、国保世帯の平均所得が年間131万円。滞納世帯というのは減免された保険料、月数千円すら払えない世帯であり、受診時が一般と同様の3割負担となっても外来平均負担の7千円の支払いは無理と説明。
早期受診による重症化予防の実効性を担保するため、「国保の資格証明書発行世帯に対し5月~8月の期間、受診時負担をゼロ円とし、周知徹底を図ること」の緊急措置を要望した。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2009年6月5日・第1760号)